和紙人形の顔ができるまで|表情が生まれる製作工程を写真で紹介

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この表情も、最初は一枚の紙から始まりました。

作品をご覧いただくと、「この表情はどうやって作っているのですか?」と聞かれることがあります。

完成した顔は一瞬でできあがったように見えるかもしれませんが、実際には土台づくりから始まり、目や口の位置を何度も見直しながら、少しずつ表情を作り上げています。

今回は、和紙を素材とした創作人形の顔が完成するまでの工程を、製作中の写真とともにご紹介します。

顔づくりは「ただの輪」から始まる

和紙人形の顔の土台

最初は、ただの輪から始まります。

更紙 を何枚か重ね、木工用ボンドで接着しただけのシンプルな土台です。
※更紙 わら半紙 A4 Amazon | Rakuten | Yahoo!

接着には木工用ボンドを使用しています。水のりは乾燥すると硬くなってしまいますが、木工用ボンドは乾燥後も適度な柔軟性が残るため、この工程に向いています。

使用している更紙は、梱包材として使われる緩衝紙です。一般的にはAmazonなどの荷物に入っている紙として見かけることが多いかもしれません。少し厚めの新聞紙のような質感で、硬すぎず柔らかすぎず、顔の形を作るのに適しています。

この段階では、作りたい顔のおおよその大きさ、特に横幅を意識して作っています。

骨格となるラインを作る

和紙人形の顔を成形している途中

次に、あごから頭頂部へ向かう縦のラインに、更紙を貼っていきます。

続いて、眉の位置と頬骨の位置に横方向のラインを作ります。

この2本の横ラインの間にできた大きな空間が、最終的に目が入る位置になります。

さらに、あごを少し折り曲げて尖らせたり、おでこの高さが足りない部分へ紙を貼り足したりしながら、顔全体の輪郭を整えていきます。

紙を重ねながら表情の土台を作る

和紙人形の目元や顔の輪郭を調整する工程

ここからは、ひたすら紙片を貼り重ねる作業です。

紙を重ねるほど厚みと強度が増し、扱いやすい土台になっていきます。

頬やおでこのように大きく盛り上がる部分には、軽量タイプの紙粘土も併用しています。

この段階ではまだ目や口はありませんが、完成後にどんな表情になるかを意識しながら形を作っています。

笑顔と真顔では頬のふくらみや輪郭がわずかに異なるため、この時点で大まかな表情を決めています。

ある程度、顔の凹凸や輪郭が整ったら、次は口と鼻を作ります。

実は私が最も時間をかけるのは、この工程です。

目や口を作る前の土台で表情のほとんどが決まってしまうため、「何となく違う」と感じたら何度でも紙を貼り直し、削り直します。完成すると見えなくなる部分ですが、この土台がその子らしい表情を支えています。

鼻と口を作り込む

和紙人形の鼻と口を立体的に成形する工程

口や鼻は細かな作業になりますが、基本的には紙を貼り重ねて形を作る方法は同じです。

平らな紙だけではなく、小さく丸めた紙や折りたたんで厚みを持たせた紙なども組み合わせながら、立体感を表現しています。

土台には更紙を使っていますが、鼻は完成後に表面へ近い位置になるため、この段階から仕上げ用のロクタ紙 を使って整えています。
※ロクタ紙 草木染 生成り厚口 Amazon | Rakuten | Yahoo!

顔のベースは、このくらいの段階でほぼ完成です。

ロクタ紙で表面を仕上げる

顔表面を仕上げようの和紙(ロクタ紙)を貼って整える工程

ここからはロクタ紙に持ち替えます。
今作ではコンセプトに合わせて、和紙ではなく生成りのロクタ紙を肌の色として使っています。

ロクタ紙を細かくちぎり、全体が2〜3層になるまで丁寧に貼り重ねます。

特に目の縁は厚みが出ないよう慎重に整えています。

まだ着色前なので陰影はなく、いわば〝すっぴん〟の状態です。

このあとアクリル絵の具で目元の陰影やアイラインを描き込みます。

目が入ると一気に表情が生まれる

顔の大きさに合わせた自作の目を製作

目は、白い和紙に虹彩と瞳孔をアクリル絵の具で描き、最後にレジンでコーティングして製作しています。

顔の裏側を見ると、何層にも紙を貼り重ねた跡がよく分かります。

まつ毛も和紙の繊維を利用して製作しています。

和紙を繊維単位までほぐし、それを束ねてまぶたへ接着しています。

目を入れこんで表情が生まれた瞬間

目を入れた瞬間、それまで無表情だった顔に一気に命が宿ったような印象になります。

今回製作している作品はアンドロイドという設定のため、口の両端には特徴的な切り込みを入れています。

おでこに載っているのは失敗作の余った目です。

最後に、頬や鼻先、唇へアクリル絵の具で血色を加え、目元や小鼻には薄く影を入れて全体の印象を整えます。

最後は眉毛で表情を整える

顔の最終工程として眉毛を張ってるところ

最後に眉毛を作ります。

和紙は植物の長い繊維を漉いて作られています。

その繊維をあえてほぐし、数本ずつ貼り重ねながら眉毛を表現しています。

眉毛も目と同じくらい表情を左右する重要なパーツなので、全体のバランスを見ながら時間をかけて仕上げています。

完成した表情

完成した和紙人形『ミライちゃん No.000124』全体像

鶏卵より一回り大きいサイズの顔でも、ここまで仕上げるには約1週間かかります。親指ほどの小さな顔でも、完成までには丸1日ほど必要です。

こうして少しずつ形になった顔は、このあと衣装や小物と組み合わさり、一体の和紙人形として完成します。

表情は、ほんのわずかな違いで印象が大きく変わります。そのため、何度も手を止めて見直しながら、一つひとつ丁寧に製作しています。

一つひとつ時間をかけて生まれた表情が、作品を手に取った方の日常に、小さな元気や温かな気持ちを届けられたら嬉しく思います。

人形の顔は、同じように作ってもまったく同じ表情にはなりません。目の角度や口元のわずかな違いによって、その子だけの個性が生まれます。

私にとって、その偶然と試行錯誤も一点物の創作人形ならではの魅力だと感じています。


現在製作中の作品や最新情報はInstagramで紹介しています。

また、完成した作品はCreema・minneで販売していますので、よろしければあわせてご覧ください。

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よくいただくご質問

顔を作るのにどれくらい時間がかかりますか?

今回ご紹介したような、鶏卵より一回り大きいサイズの顔であれば、完成まで約1週間かかります。

親指ほどの小さな顔でも、表情を作り込む工程はほとんど変わらないため、1日ほどかけて製作しています。

サイズが小さくなっても、「表情を作る」という作業そのものは省略できないため、思っている以上に時間がかかります。

顔づくりはどのように勉強したのですか?

人形製作を始めたばかりの頃は、解剖美術の本や人物デッサン、漫画の描き方など、さまざまな資料を見比べながら試行錯誤を繰り返していました。

また、アニメータードールやブライスカスタムを製作されている方々のブログも、とても参考になりました。

ジャンルは違っていても、「立体として自然な顔を作る」という考え方には共通する部分が多く、今の製作にも生かされています。

なぜ和紙ではなく、更紙や木工用ボンドを土台に使っているのですか?

理由は、強度と耐久性に優れているからです。

紙を何層にも貼り重ねた土台は軽くて丈夫なうえ、一度完成したあとでも水分を与えると再び柔らかくなり、細かな修正を加えることができます。

また、乾燥後はやすりで表面を滑らかに整えることもできるため、少し気になる部分を何度も修正したくなる私の製作スタイルにもよく合っています。

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