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11月に出会った白詰草から生まれた和紙人形
― 花冠と四つ葉のクローバー、初夏の記憶を閉じ込めて ―
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季節の境目で見つけた、白い花
近年、気候の二極化が話題になることが増えました。
テレビでは桜の狂い咲きが取り上げられ、季節の輪郭が少しずつ曖昧になっていくのを感じます。
そんな影響もあって、普段の散歩でも、以前より植物をよく観察するようになりました。
11月。
河原の野原で見つけたのは、真っ白なシロツメクサの花。
周囲には色づいた紅葉の葉。
その中にぽつんと浮かぶ白が、強いコントラストとして目に焼きつきました。
その瞬間、頭の中には5月の景色が浮かびました。
初夏のやわらかな光と空気感。
そのイメージを、作品として形にしたいと思ったのが、この物語の始まりです。
対になる、ふたつの存在

この作品は、対になる二体として製作しました。
- ひとつは、シロツメクサの花冠を頭にのせた子
- もうひとつは、四つ葉のクローバーをそっと手に持つ子
片方は、まっすぐ前を見据える瞳。
片方は、ゆったりと目を閉じた表情。
どちらも性別に寄りすぎないよう、意識して造形しています。
作品は、いつも「顔」から始まる
私の和紙人形制作は、必ず「顔」から始まります。
表情が決まると、その瞬間に製作の方向性が頭の中で一気に定まる感覚があります。
血色のよい、もも肌色の和紙を少しずつちぎり、何層にも貼り重ねていく。
特に目元は重要な部分なので、形や角度を何度も確認しながら入念に成形します。

顔ができたら、頭部、耳へと進み、次に髪の毛を貼っていきます。
ふっくらとした立体感を出したいので、いわゆる「アホ毛」もよく取り入れています。


花冠をのせるための、ささやかな仕込み
今回の作品では、花冠をのせたときに
髪の毛が少し押さえられて凹む感じも、あらかじめ表現しています。
鉛の針金を仮の花冠に見立て、
自然な凹みが出るよう、慎重に形を整えました。

シロツメクサの花冠は、本物と同じ作り方で
シロツメクサの花冠は、
実際の花と同じように、一輪ずつ作った花を編んで制作しています。

14輪ほど作ったところで一度編んでみましたが、少し足りず。
最終的には、さらに3輪追加しました。
シンプルな胸像だからこそ、
この花冠だけはしっかり作り込みたい部分でした。

※シロツメクサの花冠の詳しい制作方法は、
こちらの記事で紹介しています →(https://tezukurun.com/shirotsumekusa-washi-miniature-flower/)
完成 ― 初夏の気配をまとった小さな二人


完成した二体の和紙人形。
やさしい表情と、どこか爽やかな空気感。
11月に見つけたシロツメクサから始まり、
記憶の中の5月へとつながっていった製作でした。
手に取った方にも、
初夏の澄んだ空気を、ほんの少し感じていただけたら嬉しいです。
作品販売ページはこちら
minne / creema にて販売・公開中です。
→ minne https://minne.com/items/96718
→ Creema https://www.creema.jp/item/199
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