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contents
AI時代の空気から生まれた人形
身長約30cmほどの、少し大きめの和紙人形を製作しました。
イメージしているのは、腹話術の人形のようでもあり、球体関節人形のようでもあり、そしてどこか未来のロボットのような存在です。
2025年。AI元年とまでは言わないまでも、生成AIが社会のあちこちで使われるようになり、その便利さに驚かされることが増えました。
そんな時代の空気の中で、自然と未来や人工知能の姿を想像するようになります。
もしAIがさらに高度化したら、私たちの社会の中でどんな姿をしているのだろう。
そんな空想から、この人形は生まれました。
想像が止まらないラフスケッチ
まずはラフスケッチから。

最初の段階では、かなり情報量の多いデザインになっていました。
頭にはアンテナが生えていたり、時計が内蔵されていたり、謎のメーターやボタンがあったり。ウルトラマンのカラータイマーのようなものまで頭に浮かんでいたほどです。
こうした裏設定を考えるのも、ものづくりの楽しみのひとつです。
例えばこんな設定を考えていました。
動力は電気。腰には2メートルほどのコンセントプラグが収納されていて、バッテリーが減ると自分でコンセントを探して充電する。家庭用ロボットなので足の裏からジェットが出たり空を飛んだりはできない。
どこか幼い子供を思わせるような存在です。
ラフはさらに続きます。

土台のアイデアも2種類ありました。
未来のペットロボットと一緒に颯爽と歩くパターンと、配送されたアンドロイドが段ボール箱の中から出てきて、最初の一歩を踏み出す瞬間のシーン。
服装も含めると、ラフの段階では15パターンほどの案を描いていました。
古い素材で未来を作る
今回使う素材はロクタ紙です。

クルミやザクロで染めた和紙で、古くから存在する自然素材です。
色むらや植物片が混ざった、味わいのある紙。
そんなナチュラルな素材で、あえて未来のロボットを作ってみたいと思いました。
古い素材と未来的なモチーフ。その対比が面白いと感じたからです。
頭部の製作
頭部ができると、髪の毛を貼り込んでいきます。

まだ眉毛はありませんが、口の両端から下に伸びる線は腹話術の人形を意識したものです。
人形らしさとロボットの雰囲気が同居しています。
ボディを作る
頭の制作と並行してボディ作りも進めます。

芯材には竹串や爪楊枝を使い、肉付けには綿や軽量粘土を使用しています。
人形制作では針金とアルミホイルで骨組みを作る方法が一般的ですが、私はこの方法が少し苦手です。
というのも、腕や脚の長さが気に入らなくなったとき、ボディを切断して作り直すことがよくあるからです。
今回も首と足の付け根を鋸で切り落とし、バランスを調整しました。
球体関節風のディテール
肘と膝には球体関節風の加工を入れました。
実際には曲がるわけではありませんが、ロボットのような雰囲気が出ます。
どこかガンダムのようなメカニカルな印象もあり、作業をしていてとても楽しい工程でした。
スミ入れ
ボディが完成したところで、スミ入れを行います。

スミ入れとは、表面の溝に影色を入れて形状を強調する技法で、ガンダムなどのプラモデル制作でもよく使われます。
今回は薄めたローアンバーを極細の面相筆で入れ、肘や膝の関節だけでなくパーツの境目にも影を入れました。
これによって立体感がぐっと強くなります。
アンドロイドのパッケージ
もし未来でアンドロイドの女の子が量産されたら。
きっと家電と同じように電気屋に並ぶはずです。
箱には品番やバーコード、必要最低限の情報だけが書かれている。
そんな無機質なパッケージを想像しました。

箱のデザインは生成AIで作成しました。
しかし問題が発生。
家庭用プリンターでは厚い段ボールに印刷できないのです。
段ボールは「厚紙+波ダンボール+厚紙」の構造になっています。そこで段ボールを三層構造から剥がし、印刷できる厚さに分解することにしました。
外側の紙が破れないように慎重に剥がしていくうちに、謎の“段ボール剥がしスキル”を極めました。
最後の工程
完成直前。
大事な工程を忘れていました。
眉毛です。

ロクタ紙の繊維を少しずつ剥ぎ取り、一本ずつ移植していきます。
最後の最後で、だるまに目を入れるような感覚の作業でした。
完成


高さ:約31cm
土台直径:約13cm
生成AIが社会に広がり始めた現在、その先の未来を想像する中で生まれた作品です。
AIが高度化した未来では、思考や機能だけでなく身体やかたちを持つことで人間社会に溶け込んでいくのではないか。
ドラえもんや鉄腕アトムのように、人形という親しみやすい姿を借りながら。
この人形は未来から来た存在でも、完全な人間でもありません。
まだ途中で、試されている段階の「未来のかたち」です。
人形という媒体を通して、技術の進化と人間らしさの境界、その曖昧な領域を表現しました。
未来は、もしかすると最初から人形を選んでいるのかもしれません。
この作品は、minne・Creemaにて販売・公開中です。
作品販売ページはこちら
→ minne https://minne.com/items/45269850
→ Creema https://www.creema.jp/item/20643365/detail
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