和紙でできた双子のさくらんぼ人形|『Cherry Blossom Girl』製作過程

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見慣れたものが、突然違って見える。

和紙人形『Cherry Blossom Girl』製作記

フランスの音楽ユニット・Airによる2004年の楽曲『Cherry Blossom Girl』をご存知でしょうか。

透き通るようなウィスパーボイスが印象的な、とても美しい曲です。

私は長い間、「ああ、綺麗な女性ボーカルだな」と思って聴いていました。

ところが最近になって、実は男性による歌声にエフェクトをかけたものだと知り、かなり衝撃を受けました。

まるで、世界の裏側を突然見せられたような感覚。

ずっと知っていたはずのものが、ある瞬間から、まったく別の姿に見えてしまう。

そんな“認識がひっくり返る感覚”を形にしたのが、今回の作品です。

ラフスケッチ

和紙人形『Cherry Blossom Girl』のラフスケッチ。双子のさくらんぼをモチーフにしたキャラクターデザイン画。

今回はかなり迷いなく形が決まりました。

頭のさくらんぼ部分は、とにかくツヤツヤに。
逆に首から下は、赤ちゃんのロンパースのようなシンプルな造形に。

色数もオフホワイト+赤を中心に絞り、
「さくらんぼ」という異質な存在感が際立つようにしていきます。

まずは顔から

製作は顔作りからスタート。

二人同時進行で進めます。

そっくり同じ顔の二人ではなく、同じ表情をした二人に。

・少し見開いた目
・わずかに開いた口
・意表を突かれたような表情

これらを共通にしようと決めていました。

今回のテーマである「驚き」を、まず表情に宿したかったからです。

紙を使って小さな顔を成形している製作初期段階。創作人形の表情作りの様子。

体を仮組みして、全体の空気感を確認

頭部ができた段階で、ボール紙と紙粘土を使ってざっくり身体を作り、全体のバランスを確認します。

ここでようやく、
「この子たちはどう座るのか」
「どんな距離感で存在するのか」
が見えてきます。

最大の難関。さくらんぼ型の被り物

今回の作品で最も重要なのが、この“さくらんぼ型の被り物”。

髪の毛なのか、果実なのか、帽子なのか。

どれにもこだわらず、どれとも断定できないギリギリの感じに作っています。

頭の中には「ヘルメットのように作る」というイメージだけありましたが、実際うまくいくのかは完全に未知数。

まずは顔が汚れないようラップで保護し、その上から紙粘土を薄く貼り重ねて形を作っていきます。

さらに、その上に粘度の高い液状紙粘土を筆で塗り重ね、フチがとろりと滴るような質感を追加。

さくらんぼの果実のような丸い被り物兼ヘアパーツを成形している途中工程。

乾かしては塗り、
乾かしては削り、
また乾かしては塗る。

二人分同時進行なうえ、乾燥待ち時間もかなり長く、この工程だけで丸一日ほどかかりました。

ですが、なんとか“及第点”くらいには着地。

最終的には頭へ接着したあと、全体バランスを見ながら微調整していけばよいでしょう。

紙粘土で製作した、艶のあるさくらんぼ型ヘアパーツ完成状態。双子の果実のようなフォルム。

クリアレッドで、果実らしい艶を

着色には、
タミヤカラー・クリアレッド(X-27)を使用。

本来は車のプラモデルのテールランプなどに使われる塗料なのですが、
透明感がとても美しい。

個人的にかなり好きな色です。

まずは被り物の内側だけ先に塗装。

クリアーレッド塗料を重ね塗りし、みずみずしい赤色へ着色している工程。

後から接着すると、顔との境界を絶対にはみ出すので……。

完全乾燥を待ってから、頭部へ固定していきます。

今回、この「乾燥待ち」がかなり多いのが大変でした。

紙粘土も、液状粘土も、クリアカラーも、全部乾燥待ち。

はやる気持ちを抑えるのが大変でした(笑)

不気味なくらい小さい手足

今回はかなりデフォルメした、二頭身寄りのプロポーションにしました。

さらに、身体に対して手足はかなり小さめ。

現実には存在しない、ほんの少し不穏なバランス感を意識しています。

そして、お互いの背中へ手を回し、寄り添うようなポーズに。

ここでようやく、「双子のさくらんぼ」という存在が立ち上がってきました。

小さな双子のさくらんぼ人形に座りポーズを付けている様子。下向きの視線が特徴的な造形。

茎と葉っぱにもリアリティを

さくらんぼの茎には、1.2mmのステンレスワイヤーを芯材として使用。

曲げるのも切断するのも一苦労の硬さです。ラジオペンチの二刀流で茎らしいカタチに整えました。

その上から、極薄の和紙(典具帖紙)を何枚も貼り重ね、少しずつ太さを調整しています。

実際のさくらんぼを観察すると、実の付け根付近だけ茎が少し太い。

そういう細かな特徴も拾いながら造形しました。

葉っぱも、細かなギザギザまで再現。

小さな作品だからこそ、こういう細部がリアリティに繋がる気がしています。

最終的に、台座は無しに

当初、ラフスケッチを描いていた段階では台座も考えていました。

ですが完成が近づくにつれ、「この子たちは、何かの上に仰々しく飾られる存在じゃない」と思うようになりました。

本棚の隙間や、デスクの片隅、暮らしの中へ自然に紛れ込んでほしい。

そんな気持ちから、最終的に台座は無しに。

こうして、『Cherry Blossom Girl』完成です。

完成した和紙人形『Cherry Blossom Girl』。双子のさくらんぼをモチーフにした創作人形作品。
別角度から見た『Cherry Blossom Girl』。和紙の質感や立体感、双子の造形がわかる作品写真。

大きさ/幅6.5センチ 奥行き4.5cm 高さ10.5cm
素 材/和紙・塗料・レジン・紙粘土・ワイヤー

一見、みずみずしいさくらんぼ。
けれど視線を下へ向けると、そこには“人格”を持った小さな双子が潜んでいます。

ひとつの茎で繋がった、二つで一つの存在。

可愛いだけでは終わらない、少し不穏で、静かな物語を纏った和紙人形です。

さくらんぼモチーフや果物雑貨がお好きな方、
ダークファンタジーや創作人形の世界観がお好きな方への贈り物にもおすすめです。

この作品は、minne・Creemaにて販売・公開中です。
気になった方は、ぜひ作品ページも覗いてみてください。

作品販売ページはこちら
→ minne https://minne.com/i
→ Creema https://www.cree222/detail

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