ひとりっ子ハラスメントに奪われる時間と幸福

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〝子どもは?〟

〝もう1人産めば?〟

〝2人目はまだ?〟

あなたはこんな言葉を周りの人から投げかけられたことはありませんか?

私もつい最近、身近な人からこの手の発言を投げかけられ、酷く痛い思いをしました。

ママ友から、両親から、親戚から、職場の人から…
鳥のフンのごとく、なんの前触れもなく浴びせかけられる無神経な言葉を、一体どのように回避していけば良いのでしょうか。

ひとりっ子

私は32歳の時に娘を出産しました。
そして、精神的、経済的、体力的理由から、私自身は今後2人目を産む予定はありません。

娘が5歳になり、育児に忙殺されることもなくなった今、愛する娘と夫との3人での暮らしに満足しています。
ありがたいことに、夫もおおむね私の意見を尊重し、賛同してくれています。

そんなある日、遠方に住んでいる義父、義母、義姉が我が家に遊びにやってきました。
ありがたいことに義実家との関係はいたって良好。

義父母は孫を可愛がってくれますし、私たち夫婦に対しても過剰に干渉することもありません。結婚して10年ほど経ちますが、離れて暮らしていることもあって、心地よい距離感を保っています。

皆で和やかにリビングで歓談していたその時、義母が娘の遊ぶ様子を見ながら呟きました。

『もう1人いればよかったのに…』

放たれたその言葉は、まぎれもなく義母の本心そのものでした。

ナイフで胸を突き刺されたかのような衝撃。

私は、平静を装って曖昧な相槌で受け流すのが精一杯でした。

この極めてデリケートでプライベートな問題に対して、これまでも義母は滅多に口を出すことはありませんでした。

だからこその重み。

結婚し子どもを産み育てることが人生のテンプレートだった親世代、義母に悪気がないことは重々承知しています。

しかしその瞬間、私は胸の痛みに耐えながらもわずかに歓喜していました。

〝もう1人いればよかったのに〟

ーーー過去形。

つまり、義母はもう2人目を期待していない、ということ。

〝自分の好きにしていいんだ〟と喜ぶことでしか心を守れない自分がいました。

私の愛する家族ごと侮辱されているような悲しみ、

義母の期待に応えられない情けなさ、

人格を否定されているかのような屈辱感…

いろんな負の感情にフタをして、自分の心を偽り慰めました。

もしもこれがママ友であったなら、心の扉を閉ざし距離をおくこともできますし、本当に解り合いたい相手であるなら自分の考えを主張し理解を求めることもできます。

ただ、これが、縁を切ることもできない、先何年かはうまく付き合っていかなければならない〝夫の母〟である場合、どうすればよかったのでしょう。

対処法があったところで…

『子どもは1人だけと決めたんです』

『経済的に難しくて』

『頑張ってるけど、なかなか出来なくて』

どんなに上手く切り返そうが、私のように薄っぺらい愛想笑いでごまかそうが、どうにかその場を乗り切れたとしても、心は十分に傷ついています。

自分の心を偽った代償は、翌日に待っていました。

夫が出社し、娘を幼稚園に送り届け、慌ただしい朝の支度が終わって一人きりになったときに自分の異変に気づきました。

ーーー無気力。

貴重なひとり時間、いつもなら外出したり、創作活動に集中したりと精力的に動いているのですが…。

その日は幼稚園のお迎えまでの4時間ほどの時を、ザワザワする心に疲れながらただ座りこんだまま過ごしました。

どうにか最低限の炊事洗濯と幼稚園の送り迎えだけをこなす日々が1週間ほど続きました。

時間の経過が傷を癒し、親友に話を聞いてもらい、こうして記事を書くことで、少しずつ元の自分が戻ってきつつあります。

家族の在り方が多様化し、子どもを産む産まないの自由がある時代ゆえのこの悩み。

正解のないその答えは十人十色、夫婦の数だけあるはずです。

言葉はときに凶器、こんな理不尽な苦しみにいったい何の意味があるでしょう。

繊細なあなたへ

『2人目はまだ?』なんて平気で聞いてくる人は、この問題をナーバスなテーマだとは思っていません。『今日は天気がいいですね』と同列です。挨拶がわりのようなものです。

〝外野には好きに言わせておけばいい〟と、頭では解っていても簡単には受け流せないこともあります。

〝なんでそんなに気にするの?〟、〝傷つき過ぎ〟といわれるのも怖いです。

ただ、傷ついて心がボロボロになったときに、顔も名前も知らないだれかの言葉に救われることもあります。

誰にでも相談できることではありませんし、同じ境遇の人が身近にいるとも限りません。共感できる意見をネット上で見つけるだけでも心が少し軽くなることもあります。

同じ悲しみを抱える誰かに届くといいな。

そんな思いで今回はこの記事を書きました。

ひとりっ子ハラスメントに傷ついてしまった人の心の支えになれば嬉しく思います。

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