この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

『未来のかたち(ミライちゃん)』には、一体ずつ個体番号がついています。
現在、私のもとから生まれたミライちゃんは、
000123
000124
000125
と、3体になりました。
一体ずつ手作業で製作する一点物。
それなのに、個体番号だけは続いていく。
この少し不思議なミライちゃんの歩みについて、今回は書いてみようと思います。
広告
ミライちゃんは、コンクールに向けて生まれた
初代ミライちゃん000123は、もともとコンクールへの出品を目的に、コンセプトを一から考えて製作した作品です。
出品したのは、ドールアート展2026 in うつくしま 第10回創作人形コンクール。
作品を考えるにあたって、過去の受賞作などを見ていくと、白く美しい作品や、球体関節人形に近い表現の作品が多いことに気づきました。
そこで私は、あえてそこから少し離れた表現を考えることにしました。
一見すると球体関節人形のような外観を持ちながら、白く滑らかで均一な肌とは異なる存在。
その対比を表現するため、素材には植物繊維が残った粗めの紙を選びました。
使用したのは、クルミやザクロで染めたロクタ紙。
ネパールのヒマラヤ地域に自生する植物「ロクタ」の樹皮を原料とした、伝統的な手漉き紙です。
植物片や色むらを含んだ、均一ではない素材の表情。
それを未来的なモチーフと組み合わせることで、既存の「美しい人形」とは少し違う方向の作品を目指しました。

→ 初代ミライちゃん000123が生まれるまでの製作過程はこちら
球体関節人形のようで、ロボットのような存在
ミライちゃんの外観は、球体関節人形の構造をベースにしています。
そこに、ガンダムなどのロボット作品に見られる関節表現や、オビツ11ボディ、アンドロイドなどのイメージも参考にしました。
ただし、ミライちゃんの関節は、すべてが実際に可動する構造ではありません。
見た目として関節があるように見える、フェイクの構造です。
今回は、実際に人形を動かせることよりも、関節があることで生まれる、
「ロボット人形としての存在の説得力」
を重視して設計しました。
人間のようでありながら、どこか違う。
人形のようでありながら、ロボットのようでもある。
そんな曖昧な存在として、ミライちゃんを形にしました。
「未来のかたち」というコンセプト
ミライちゃんは、未来からやってきた完成された存在ではありません。
まだ途中で、試されている段階の存在です。
生成AIが暮らしに溶け込み始めた今、その先に現れるかもしれない姿。
人のかたちをしていながら、どこか少しだけ違う存在。
それが私の考えた「未来のかたち」です。
一歩踏み出すポーズには、これから始まる存在であることを込めました。
そして、足元に配置したダンボール箱やビニール袋も、単なる背景や小道具ではありません。
まるで何かが梱包されて運ばれてきたような、「この存在が現れた瞬間」を表現するための作品の一部です。

一点物なのに、「量産された存在」
ミライちゃんを考えた時、私の中にはもう一つ、少し矛盾したイメージがありました。
それは、
「手作り一点物の量産アンドロイド」
という存在です。
私が製作する人形は、一体ずつ手作業で作る一点物です。
同じ型を使って複製することもありません。
顔も体も、一体ごとに異なります。
それなのに、作品の中にいるミライちゃん自身は、まるで工場で量産されるアンドロイドのような存在。
どこかの未来で、同じような個体がたくさん生まれている。
そんなイメージです。
そのため、初代ミライちゃんには「000123」という番号を付けました。
ただ、この番号を付けた時点では、000124、000125と続いていくことを想定していたわけではありません。
工業製品やSF作品のような雰囲気を出すために、シリアルナンバーらしい数字をデザインの一部として取り入れただけでした。
まさか、この番号が本当に次の個体へ続いていくことになるとは、その時の私は知りませんでした。
初代000123は、コンクールで受賞
こうして生まれた初代ミライちゃん000123は、ドールアート展2026 in うつくしま 第10回創作人形コンクールに出品しました。
そして、準大賞・福島市長賞をいただきました。
さらにその後、書籍『craft art DOLL 2026』にも掲載していただくことになりました。
作品を製作していた時には想像していなかった形で、ミライちゃんが少しずつ外の世界へ広がっていきました。

→ 『craft art DOLL 2026』への掲載について詳しくはこちら
「000124を作ってほしい」と言われた時
初代000123を販売した後、ミライちゃんを見てくださった方から、再販のご相談をいただきました。
「どうしても欲しかった」と。
その言葉をいただいた時、私自身も驚きました。
ミライちゃんはコンクールに向けて、コンセプトから考えて製作した作品でした。
そして、あくまで一点物として完成させた作品です。
だから、まさか「もう一体作ってほしい」と言っていただけるとは思っていませんでした。
でも、その時、ふと感じたことがあります。
「これは、ミライちゃんのコンセプトにぴったりだ」
と。
少し身震いするような気持ちになりました。
なぜなら、ミライちゃんはもともと、
「一点物の手作業作品でありながら、量産品として生まれた存在」
というイメージから生まれた作品だったからです。
000123とまったく同じものを複製することはできない。
でも、同じ世界観を持った別の個体を新しく生み出すことはできる。
そうして生まれたのが、000124です。

→ 000124が生まれるまでの製作の裏側はこちら
000123と同じではない。でも、同じ世界にいる。
000124は、000123のコピーではありません。
顔も、体つきも、一体ずつ異なります。
けれど、
「未来のかたち」
というコンセプトは受け継がれています。
000123とは違う個体。
それでも、同じ世界から生まれた存在。
そう考えると、000124は単なる「再販」ではなく、ミライちゃんという存在にとって、初めて生まれた新しい個体だったのだと思います。
そして、ここで初めて「000123」という番号が、私の想像していなかった意味を持ち始めました。
そして000125へ
000124を製作した後、さらに思いがけない出来事がありました。
Instagramを通じて、海外からオーダーをいただいたのです。
こうして生まれることになったのが、000125。
000123から000124へ。
そして000125は、海を越えて新しい場所へ向かうことになりました。
000123を製作していた時には、こんな未来が待っているとは想像していませんでした。
最初はただ、作品のデザインとして付けた「000123」という番号。
それが結果として、
000123
↓
000124
↓
000125
と、本当に続いていくことになったのです。

作品のコンセプトが、現実の中で動き始めた
今振り返ると、少し不思議な気持ちになります。
「手作り一点物の量産アンドロイド」として考えたミライちゃん。
それは最初、あくまで作品の中の設定でした。
ところが、000123を見た人が「この子が欲しい」と思ってくださり、000124が生まれた。
そして000125は、Instagramを通じて海外からオーダーされた。
結果として、私が作品の中で考えていた、
「一点物なのに、量産される存在」
というイメージが、現実の中で少しずつ形になり始めています。
同じものを複製しているわけではない。
一体ずつ、手作業で製作している。
それでも個体番号は増えていく。
それぞれ違う個体が、それぞれの場所へ向かっていく。
これは、私自身が最初から計画していたことではありませんでした。
だからこそ、面白いのだと思います。
「未来のかたち」は、これからどこへ行くのか
000123を製作した時、000124が生まれることも、000125が海を越えることも知りませんでした。
「未来のかたち」という名前をつけた作品が、今では私自身の想像を超えた未来へ進み始めています。
000126が生まれるのか。
それとも、しばらく新しい個体は生まれないのか。
次はどんな人がミライちゃんを見つけてくれるのか。
そして、その人にとってミライちゃんはどんな存在になるのか。
それは、私にも分かりません。
ただ、一体ずつ丁寧に製作したミライちゃんが、それぞれの場所で新しい物語を始めていく。
000123から始まった番号が、これからどこまで続いていくのか。
その先にどんな「未来のかたち」が現れるのか。
私自身も、楽しみに見届けていきたいと思っています。
